カジュアルリュックの制作秘話

こんにちは!HushTugの川田です!

皆さんはHushTug製品がどのような工程を経て作られているのか知っていますでしょうか?

実は革製品は本当にいろんな工程を経て作られています。実際に作ってみて思うことは、2mmのミスですべてが無駄になってしまうということ。一度縫ってしまったり、接着してしまうとほぼやり直しがきかないんです。

今回はHushTug製品の中でも最新作であるカジュアルリュックがどのように作られたのかザックリと紹介していこうと思います。 

①デザイン出し

テストで制作していたリュックサンプル。
ファスナー口が2つでテスト革で制作。

HuhsTug製品のデザインはいろんなところからアイデアを盛り込んでいます。今回のカジュアルリュックであれば、前々からリュックを作ろうという意見があったので実はモンゴルでテストデザインを制作していました。
上の画像が実際に作っていたリュックです。テスト革を使用してデザインが全然違うので、今のリュックの面影が全く無いと思います(笑)
これに“サッカー選手の移動をスマートにしたい”というコンセプトを盛り込みました。
高級感があり、それでいてある程度容量が必要。サッカー選手はスーツでも移動することもあるので、オンでもオフでも使える外観。と言った要素を具体化していき、現在のデザインが出来上がりました。

②仮パターン制作

真っ白な紙からパターン製作しています。
デザインが出来上がったら、一番大事なパターン製作に入ります。パターンは絶対に間違えられません。5mmでもズレると“縫えない!?”という事件が起こってしまいます。(僕は何度も経験しています)
なのでここのパターン制作はHushTugに関しては二人で行っています。制作と確認を何度も繰り返します。パターン制作で決めることは
・革、裏地、芯材を選ぶ
・革、裏地、芯材、ファスナーの寸法
・両面テープ、のり付けの範囲
・漉きの範囲(革を薄くする作業のこと)
・縫製ライン
これらです。
特に今回のリュックに関してはパーツ数が非常に多いです。革で22枚、芯材で14枚、裏地で14枚の合計50枚になりました。
トートバッグが15枚なので、3倍以上多いということです。
この時、パターン制作は紙で行います。修正がしやすいようにシャープペンシルで製図するためです。
曲線はR定規と呼ばれるものを使用するか、コンパスを使って製図しています。その他、直角定規、20cm、30cm、50cm、100cm定規を使用したりと、いろいろな道具を駆使して製図しています。
R定規たち。
定規たち。(直角定規は日本のやつです)

③革、資材等の選択、購入

革の確認をしている職人さん

パターンが決定したら、イメージに合う革と金具などの資材を選びます。今回のリュックですと、金具と芯材をどうするかが重要でした。
正直、作ってみないとわからない部分が非常に多いので、FIRSTサンプルの前はいろんな資材(形や色など)を用意しておきます。また、モンゴルの場合は日本のように宅配便が無いので、渋滞に巻き込まれながらお店まで買いに行かなければなりません。
しかも当たり前ですが、お店にない商品は購入できないのでイメージ通りの資材がない場合も多々あります…。自分がイメージした商品をイメージ通りに再現するのがモンゴルという国では難易度が高いです。

また、もし革を0から作る場合は3週間かかってしまいます。
この3週間というのは皮から革が出来上がる納期ですので、デザイン性の高い革を作りたくてテストの回数が増えるとなるともっと時間がかかります。
また、モンゴルという国を考えると、なんかしらの問題が起こる可能性が高いので(あとは工場側が途中で面倒になるとか)、作ってもらえない可能性もあります(笑)

HushTug製品の革はシボレザーを使用していますがこの革を安定して制作するのにかなり時間がかかりました。

④FIRSTサンプル制作

こちらはSECONDサンプル。ファスナーの色が変わるだけで雰囲気がガラッと変化します。

パターン、革、資材が全て揃って初めてサンプル制作に移ります。このFIRSTサンプルが一番難しいです。
パターンに抜けや漏れがあった場合はその都度サイズなどを考え直さなければなりません。
また、“ここにはこの芯材の方がいいよね”となると、その芯材を買いに行かなければなりません。ちなみに今までで一番ショックだった事件は、「最後のパーツを縫い合わせるだけ」というところまで来て、合わせ部分が厚すぎて縫えない(ミシンの針が通らず折れる)という事件です…。

⑤パターンの修正→SECONDサンプルの制作

SECONDサンプルでは主に「制作側から見た修正」と「非製作側から見た修正」の2つの意見を盛り込む作業になります。

制作側からするとFIRSTサンプルが完成すると、ある程度どこをどうすると効率よく作れるか、丈夫になるかなどが見えてきます。ただ、それだけだと足りないので日本の社員達にビデオ通話や写真でどうか確認するようにしてます。

特に非制作側の意見は抽象的なことが多いので(もう少しパリッとしてた方がかっこいいかもなど)、その意見をどう具体化して、制作に応用するか考えなければいけません。

ここが一番難しい作業かもしれません。また、一つの変更が全パターンのサイズ変更を伴う場合もありますので、まだまだ気が抜けません。

 

⑥サンプル完成→本パターン制作、原価計算

実勢に制作した本パターン。(色の違いは関係ないです)

今回はSECONDサンプルの制作までしか書いていませんが、うまく納得が行かない場合は何度もパターンの修正、サンプル制作を行います。
サンプルが完成したところで本パターンの制作に入ります。HushTugでは本パターンはこのような少し厚くて固めの素材を使用しています。
たくさん生産する時に紙だとすぐによれてしまうので、丈夫な素材を探してたどり着きました。本パターンの製作時に気をつけていることは、“パターンを見ればある程度作れるくらいわかりやすくする”ということです。
また、本パターンの製作時のちょっとした注意点はペン先の太さまで考慮することです。
油性マジックなどのペン先だと1mmくらいの太さになるので、両端を考慮するとそれだけで2mmのズレが生じてしまいます。なので“線の内側”をカットするなど細かい注意点がいくつかあります。

このシートに記入して計算しています。すごく地味な作業です(笑)この作業で算数が得意か苦手か判明します。

また、HushTugの特徴の一つでもある“原価開示”のための計算もここで行います。
革の面積を計算したり、芯材の面積を計算したりするのですが、パターンを並べて見たほうが早いので、本パターンの制作完了とともに計算をしています。

⑦ファイナルサンプル制作(各色)

本パターンの制作が完了すると、ファイナルサンプルの制作に移ります。これは完成品を日本のオフィスに送り、最終チェックと写真撮影など日本側でも使用するサンプルとなり、すべてのカラーバリエーションを含むサンプルを制作します。
“サンプル”というのは名ばかりで、一つのミスも許されない制作になります。

 

最後に




今回の商品開発は初めてのリュック制作ということもあり、なかなか手こずりました。今までのバッグよりもより立体的な形をしていますので、芯材の使い方など難しかったです。HushTugらしさを残しつつ、機能性も持たせ、使いやすいデザインになっているかと思います。

今回のカジュアルリュックは現在クラウドファンディングに挑戦中です!クラウドファンディング終了後も上記写真のSサイズリュックとポーチと一緒にECサイトで販売予定なのでぜひチェックよろしくお願い致します!

クラウドファンディング:https://camp-fire.jp/projects/view/155259

コメントを残す

コメントは承認され次第、表示されます。