目次

  1. 代表がモンゴルへ。HushTugのはじまり
  2. モンゴルでNo.1の工場に成長。ところが…
  3. 畳み掛けるトラブル。HushTug終了の危機
  4. 奇跡の回復!HushTugの現在とこれから。

 

 

ブランドを共に作り上げる職人探しの旅

HushTugが誕生したとはいえ、たったひとりの日本人が遠く離れたモンゴルでレザーブランドを創業するのはそう簡単ではありません。

 

「まずは一緒に協力してくれる職人さんを探さなければ…」

 

モンゴルの現状を変えるには、モンゴルレザーという上質な素材から高品質な商品を作ることが必要になる。そのためには挑戦に力を貸してくれる職人が必要不可欠でした。

世界水準のクオリティを実現するには目に見えないこだわりや、細かい部分を丁寧に仕上げることは大前提になってきます。モンゴルにはこのような技術も文化も乏しいため、職人探しは難航を極めました。

更に、訪ねた先々で辛辣な言葉を投げかけられます。

「そんな面倒なことはやらない」
「それだけやって何個売れるんだ?」

職人にも目の前の仕事があり生活があるわけで、海外から来た見ず知らずの若者の想いや声が全く届かないのは当然です。

人から人へ。可能性がある人にはとにかく話をしに行きました。

そして職人を探して約3ヶ月が経過した頃。唯一、理念に共感してくれたのが小さい工房を営んでいたウンドラフさんとチムゲさん夫婦でした。

(左:ウンドラフ氏 中央:戸田 右:チムゲ氏)

 

「私達もモンゴルの現状には危機感を持っていました。タカ(モンゴルでの呼び名)と一緒に仕事をしたい」

販売先があるわけじゃない。いつ売り始めることが出来るのか全く想像がつかない。彼らは、そんな現状を知った上でも、一緒に挑戦する道を選んでくれました。

 

約1年間の試行錯誤の日々

 

職人が見つかったからといって、全てがうまくいくわけではありません。

むしろ、ここからが本番。世界で通用する品質の製品を現地で作ることの方が職人探し以上に難しいことでした。

高品質なものを作る技術やノウハウがない上に、言葉も十分に伝わらない。このような中で何度も何度も、試行錯誤を繰り返しました。

毎日のように工房に足を運び、職人と一緒に何度もサンプルを作っては修正し、何度も失敗しました。技術を習得するためにハイブランドのバッグを分解して研究したり、日本の革職人の元で数ヶ月間修行したり、出来ることは何でもやりました。

 

ついに販売開始!

約1年かけて、ようやく自分たちが納得できる高品質な製品が作れるようになりました。

そして、2018年10月のクラウドファンディング、2019年4月のオンラインストア開設でついにお客様に販売を開始しました。

第一弾の商品はトートバッグ。自分自身が欲しいと感じるデザインを追求した自信作ですが、同時に「1年以上の歳月をかけてきた商品が本当に受け入れられるのか」と不安でいっぱいでした。

 

 

 

まず最初に行ったクラウドファンディング。

50万円売れたら大成功!との思いで始めましたが、最終的にその目標を大きく超える金額を達成できました。

 

 

オンラインストアも開設当初の4月こそたった5件しか売れませんでしたが、その後順調に成長。

なんと2019年末で2,000人以上のお客様にHushTugを選んでいただきました。

 

 

また、ブランドと共に、モンゴル現地の工場もどんどん大きくなっていきます。

 

創業当初の工房は狭い地下の部屋にたった2-3人の職人さんがいるのみでした。

日本でお客様に知っていただけるにつれて、モンゴルで一緒に働いてくれる職人さんもだんだんと増えていきました。

最終的に2階建ての大きな工場に移転し、職人とスタッフ合わせて総勢70名ほどの工場に。

販売開始からわずか1年でバッグ製造の工場としてはモンゴル最大級の規模にまで成長することができました。

 

 

 

そして2020年。

順風満帆とは言わないものの着実に前へ進んでいたHushTugですが、新型コロナウイルスの流行が本格的に始まり状況は一変します。

また、その後も新型コロナウイルスの流行を超えるトラブルが立て続けに起きることを、まだ誰も知りませんでした。